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「プー横丁にたった家」「クマのプーさん」(A・A・ミルン) - 何度読んだのか分からない本

 

クマのプーさん」(A・A・ミルン)は「プー横丁にたった家」の2冊で、ひとつの物語だと思っている。だから、岩波書店の単行本は絶対に捨てられない。E.H.シェパードのイラストも秀逸だけど、翻訳が石井桃子というのがたまらなくイイ。

 

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 ↑ ブログ「Res-C」のおまけ&補足!

メルヘンとファンタジーの境界


「ファンタジーの世界」(佐藤さとる)にメルヘンとファンタジーの違いが記されていた。本棚の奥で長らく休眠している新書だ。今でも色褪せない内容なので復刊して欲しいんだけどね。覚えている範囲で要約してみる。

 

ファンタジーは現実から虚構の世界へ移る瞬間がある小説だ。つまり、物語のなかに現実と虚構が存在する。メルヘンには現実がない。例として「銀河鉄道の夜」(宮沢賢治)を挙げていた。

 

上質のファンタジーは虚構と現実の境目で、読み手に違和感を与えないことだ。そんなふうに理解した。その点で言うと「クマのプーさん」は限りなくメルヘンに近いファンタジーだと思っている。

 

 

 クリストファー・ロビン - 父と子の葛藤

 

クマのプーさん」はクリストファー・ロビンの成長物語だ。特に「プー横丁にたった家」のラストあたりは、とても切ない。子どもから少年になっていくロビンの心情が描かれている。ぬいぐるみであるプーさんに向かって語りかけるセリフが、とにかく、切なすぎる。

 

クリストファー・ロビンA・A・ミルンの実息子がモデルだ。プーさんは息子が持っていたテディ・ベアが元になっている。世界中で「クマのプーさん」は売れた。クリストファー・ロビンは世界でも有名な子どものひとりとなった。

 

当然のように、父のA・A・ミルンと息子のクリストファー・ロビンは確執が生まれた。思春期の反発でも反抗でもない。深い深い愛憎が入り乱れた軋轢だ。最初の童謡集が発表されたのは、ロビンが物心がつく以前のこと。ロビンは、もう、手遅れの場所に立たされていた。

 

ロビンは結婚後、父のミルンと絶縁状態になった。ロビンが父への軋轢が解かれるのはミルンの死後である。そう、「クマのプーさん」は残酷な物語でもあった。現実の世界では。

 

 

それでも「クマのプーさん」「プー横丁にたった家」は素晴らしい小説!

 

プー横丁にたった家」の中盤以降は「クマのプーさん」とは、まるで違う世界が広がっている。最後まで読み終わったら、岩波少年文庫の「クマのプーさん」を見て欲しい。表紙のイラストが最初のイメージと変わっているはずだ。

 

やるせないぐらい、切ない情感が身体に走る。

 

 

 

 

Organizer:yosh.ash

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