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yosh-ash’s Space

言葉・音楽・好奇心

XTCの『Skylarking(スカイラーキング)』- 夏の暑い午後にうってつけの名盤

Skylarking

XTCをよく聴いていたのは1990年前後。「Oranges & Lemons」が出たあたり。好んでかけていたCDは3作目『Drums And Wires』から『Black Sea』『English Settlement』。特に『Black Sea』は名盤中の名盤だと思っている。

「Respectable Street」や「Paper And Iron」なんか、めちゃくちゃかっこいいもんね。もちろん、音の処理(当時は最先端)に時代の流れを感じないわけではないけど、それでも、ひねくれたビートルズマニア・ミュージシャンの流れとしては、ひとつの頂点を極めている。

それでも、この1枚を…と尋ねられたら、答えるのはこれ。『Skylarking』(1986年)。

Skylarking

Skylarking

 

XTC『Skylarking(スカイラーキング)』

このアルバム。統率された音の固まりは、XTCでも異色だと思う。Todd Rundgrenのおかげで純粋にXTCらしさが出てるかといえば、まったくもって「らしくない」作品に仕上がっている。

それでもビートルズに影響を受けた英米のふたり(英:Andy Partridge、米:Todd Rundgren)が起こした化学反応はこのアルバムをどこにも存在しないPOPな作品にしてしまった。

奇跡なのかもしれない。『Skylarking』のレコーディングにまつわる話を読めば読むほど、そんな思いがしみじもと湧いてくる。このレコーディング話はそこら中に落ちているので、ここでは記さないでおく。

『Skylarking』は、決して混ざることのない2つの液体がビーカーのなかで蠢いているみたいだ。よく発売されたな…それが率直な感想。どこかで違う粉末でも入り込んでいたら確実に、この世から『Skylarking』なんてアルバムは消滅していた。

2010年にはTodd Rundgrenが極性を間違っていたからと、修正した、正式な『Skylarking』を発表。まだ、やりあっている。未だに分離したままなんだね、彼らは。

権利の問題でヴィニール盤しか作成できなかったんだけど、2014年にはCDとしても発売された。正式な『Skylarking』はジャケットまで変更されていた。引きこもりミュージシャンの代表格Andy Partridgeはどこまでもひねれくている。

SKYLARKING

SKYLARKING

 

『Skylarking(スカイラーキング)』を聴く

SE。虫の鳴き声。ループ。重なる柔らかなシンセのフレーズ。1曲目「Summer's Cauldron」のはじまり。そして途切れることなく続く2曲目「Grass」。ぬるぬるとした、この気だるさは夏の暑い午後に流すにはぴったりだ。実際、そういうときに聴いていた。街中や電車などでヘッドホンを通して聴いても今ひとつなんだよね。

大きからず小さからずそんな音量で、エアコンもかけずに窓を開けて、高い湿度のむしむしとした外の空気を入れて、このアルバムを流すんだ。そうするとなんかもうどうでもいい感じでさらに脱力して、眠ってるような眠ってないようなそんなすべて中途半端な気持ちになる。で、やる気のないお釈迦様みたいに横たわって、冷たいフローリングの床に寝そべる。

そう、なにもしない。

 

 

yosh.ash

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